アクティビティ

〈しの竹細工づくり体験〉
竹の手触り、こつこつと。
職人から教わる伝統の技

情報掲載日:2022.03.08
※最新の情報とは異なる場合がありますので、予めご了承ください。

 

300年以上受け継がれる伝統工芸

 

岩出山地域に古くから伝わる「しの竹細工」。
身近な山に生えている“しの竹”を編んでつくる、100%手作りの工芸品です。

その歴史は古く、始まりは江戸時代。

岩出山第4代城主・伊達村泰公が京都から竹細工職人を招き、
武士の手仕事として奨励したのが始まりだと言われています。

 

以来、農家の冬の内職として定着し、
300年以上受け継がれている「しの竹細工」。

その魅力を知るべく、
JR有備館駅から歩くこと8分、「大崎市竹工芸館」にやってきました。

 

 

古都の趣を感じる、南町商店街沿いにあります。

 

 

静かな佇まいに、ふさふさと育つ竹が目印です。

 

 

 

 

丁寧につくられた、美しい竹細工

 

広々とした空間で、まず目に付いたのが、
竹細工指導員さんが黙々と作品作りに励む姿。

「パチッ、パチッ」と竹を切る作業音が館内に響き渡ります。

 

職人の仕事ぶりを間近で
見ることが出来るのは、竹工芸館ならでは。

 

 

竹細工指導員さんの作業場。実際に竹細工の製作・実演を見学することもできます。

 

 


こちらで作られた竹製品は、購入することもできます。

柔軟で弾力がある”しの竹”を、丁寧に編み上げた竹ざるや竹籠は、
素朴な美しさと味わいがあります。

手馴染みも抜群で、水はけも良く、機能的に優れているのも特徴的です。

 

 

 

一つ一つ丁寧につくられた、暮らしの道具たち。

 

 

竹や陶器などを組み合わせたオブジェ・インテリアなども展示されています。
美しい作品の数々にうっとり。

 

 

大崎市竹工芸館では、竹とんぼや一輪挿しなどの
竹細工づくりの体験もできます。

ぜひとも作ってみたい!
でも、手先が不器用な私にもできるかな?

 

「丁寧に指導するので大丈夫ですよ」と
声をかけてくださったのは、竹細工指導員の千葉文夫さん。

指導員歴45年の大ベテランです。

 

 

生まれも育ちも大崎市の千葉さん。優しく丁寧に指導してくれます。

 

 

 

 

 

竹に触れて、素材の有り難みを知る

 

用意していただいたのは、竹を割って剥ぎ取った”ヘゲ”と呼ばれるもの。
こちらを編んで、一輪挿しをつくっていきます。

 

さらさらと優しい手触りのヘゲ。

 

 

「竹細工づくりは、竹を切り出すところから始まります」

ヘゲを手にした千葉さんが、そう話してくれました。

 

材料となる“しの竹”は、町内に自生しており、
冬の間に職人さんが自ら切り出します。

切り取った一年分の“しの竹”を、春までに自然乾燥させ、
湿気の無いところで保管します。

 

その後、水につけて柔らかくし、竹を割り、
皮を剥いてできたものが、今手にしているヘゲ。

このような下準備を経て、やっと竹細工づくりをすることができます。

 

 

「竹が無ければ、編むこともできない」
素材あってこその竹細工なのだと、噛み締めます。

 

 

 

 

一本ずつ、こつこつと。


「編み方は、とてもシンプルです。
一本ずつ交互にヘゲを重ねていきます」

そう言って、手元を見ずに
すいすいと編み進めていく千葉さん。

 

「目で見なくても、指が見ていますので」まさに職人のなせる技です。

 

 

私も編み始めると、これが思った以上に難しい。

ヘゲがスッと入らず、曲がってしまったり、ねじれてしまいます。

始めのうちは、一本一本重なっていくのを確認しながら
手の力を抜いて編むことがコツだと教えてもらいます。

 

少しずつ感覚を掴み、リズムができると、思わず没頭。
雑念がフッと消える、この感覚が気持ち良いのです。

 

千葉さんに手直しや仕上げをしてもらい、ついに完成!
一本一本時間をかけて編み上げた、世界に一つだけの一輪挿しです。

 

 

まるっとした形がかわいい一輪挿し。形が似ていることから“みのむし”とも呼ばれています。

 

 

ドライフラワーなどを入れて、お部屋のインテリアとしても楽しめます。

 

 

 

 

 

つなぐこと、作り続けること。

 

竹細工の技術を伝承することを目的に、昭和23年に設立された竹細工指導所。

その後、しの竹細工の魅力発信と、竹細工の後継者を育てる拠点として、
製品の展示と指導所が併設された「大崎市竹工芸館」になりました。

 

「若手のつくり手を増やし、製品一つ一つの質を
高めていくことが今後の目標です。
あとは、もっと自分の作りたいものを作っていきたいですね」

 

凛とした表情で話す千葉さん。

努力を惜しまず、常に挑戦し続ける姿がとても素敵です。

 

 

他の職員の方にも作り方のアドバイスをする千葉さん。

 

 

作り続ける人がいるから、伝統が受け継がれている。

地域に根付いた知恵や志を、
次につないでいくことの大切さを知りました。

 

伝統の技が光る“しの竹細工”を、
是非あなたの目で見て、触って、確かめてください。

 

(撮影: 足利文香)

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足利文香|ツナグ編集室

宮城県大崎市生まれ、岩手県盛岡市在住。地元大崎市と岩手を行ったり来たりの2拠点生活をしています。やさしい日常や想いを映した写真・デザイン・ライティングを手がける「Living dedepo」主宰。野鳥、歌、クリームソーダが好き。

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