鳴子温泉の歴史ある旅館が並ぶ”湯の街通り”の一角にあるそば屋さん。
昔ながらの風情を感じる外観です。
暖簾をくぐって中へ入ると、和風の店内の雰囲気と絶妙にマッチするジャズが流れ、
そばつゆの甘辛い香りがふわりと漂ってきました。
探求心あふれるご主人が作るそば
お昼時には、地元の常連さんから観光客らしき人まで、次々とお客さんが入ってきます。
ご主人おすすめの天ざるをいただきました。
まず目をひいたのは、珍しい形のにんじんのかき揚げです。
「あんまり見ない形でしょ?いろんな切り方で試してみたんだけど、
この形が一番甘みが出て火の通りもよくてね。」とご主人。
素材の味を活かせるようにと、いちょう切りなど様々な切り方を試した結果、
この5mm角程度の細切りの形に辿り着いたという。
にんじんがびっくりするほど甘い…!
甘辛い絶妙な加減のつゆと、のど越し抜群のそば、
そして旨味を最大限に引き出された天ぷら。
まさに三位一体の最高の組み合わせでした。
鳴子温泉の歴史とともに歩んできたお店
現在はそば処として営業していますが、
創業当時はそば屋ではなく料理屋だったそう。
「創業は大正4年頃らしいけど、詳しいことはあまり分からないんだよね。」
とご主人の山田史樹さん。
なんと創業100年以上!
昔から近くの温泉旅館に泊まるお客さんで賑わったことでしょう。
そば屋として始めたのはお父様の代から。
それから約60年以上、地元の人や観光客に愛されるお店であり続けています。
史樹さんは「”なんとなく”そば屋になろうと思った」と話しますが、
高校を卒業後、東京の老舗そば屋で修行をしたのちにお店を継いだ覚悟は、
生半可なものではなかったことでしょう。
お店で使う素材はなるべく地元の業者から仕入れることがコンセプト。
また観光地ということもあり、
お店が閉まっていてお客さんががっかりすることのないようにと、
休業日は年に10日ほど。
さらにお店は午前中から夜まで休みなく営業しています。
「そば屋をやっているときが楽しい」
それでも、「遊んでるようなもんだよ」と笑顔を覗かせる史樹さん。
嬉々としてそばの歴史や豆知識を語り、
たまの休みには長野県の温泉へ行って他の店のそばを食べてくるんだよ、
というエピソードも。
お話の中に“そばへの愛”がたくさん感じられました。
ご主人が楽しみながらお店を続けているのが、
皆に愛される秘訣なんだろうと思いました。
とっても居心地のいい老舗そば屋さん。
温泉に入った後に、一杯いかがですか。
(撮影:安部菜摘・馬籠美南)
INFORMATION
そば処小花
- 住所
- 大崎市鳴子温泉字湯元87
- 電話番号
- 0229-83-2126
- 営業時間
- 11:00~22:00(L.O21:30)
- 定休日
- 不定休
- 駐車場
- 有(3台)
- 席数
- 20席
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